✨第3話 はじめての入金 ― お金が入るという不思議な感覚

リタイアまでの私

無事に契約を終え、銀行に報告すると、
担当者は少し驚きながらも「良い物件ですね」と言って融資を進めてくれた。
準備も順調に進み、不動産決済も完了。

ついに——
アパートオーナー「小林」の誕生だ。

「本当に始まったんだな」
そんな高揚感と同時に、
“で、何をすればいいんだろう”という不安が混ざっていた。

管理会社への挨拶、所有者変更、管理委託の契約……
ひとつひとつは大した作業ではないのに、全部が初めてで、胸がそわそわした。

そんな中、管理会社の担当者が言った一言が忘れられない。

「毎月決まった日に、家賃をお振り込みしますね。」

その瞬間、ふっと胸の奥がワクワクした。
いよいよ、自分が“お金をもらう側”になるのか。


オーナーといっても、最初は何もわからない。
仕事の合間に物件を見に行き、
敷地をぐるっと歩いてみたり、
空いている部屋を少し覗いてみたり。

別にやることがあるわけでもないのに、
それが妙に楽しかった。
「自分の場所なんだな」と、じわじわ実感が湧いてきた。


そして迎えた入金日。

「信用していないわけじゃないけど…」
そんな言い訳をしながら銀行へ向かった。

通帳を機械に入れると、
カシャカシャと記帳の音がする。
その短い時間がやけに長く感じた。

印字された数字を見た瞬間、
心の中で「おおっ」と小さく声が出た。

管理会社から入金、ローンの返済、そして残った僕のお金。

いつも見ているはずの数字なのに、
その“意味”がまったく違って見えた。

働いて得るお金ではなく、
“仕組みが生み出した収入”。
その現実が、静かに胸に広がった。


家に帰ってから、もう一度通帳を開いてみた。
数字は同じなのに、なんだか何度見ても飽きなかった。

「これは偶然じゃない。
自分の判断で動いた結果なんだ。」

小さな達成感と、
“もっと勉強しよう”という静かな決意が心に芽生えた。

こうして、僕のオーナーとしての時間が、
ようやく本当の意味で動き始めた。


次回は、二棟目の購入の話です。
ここから一気に世界が広がっていきます。

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