✨第6話 税理士との出会い ― 冷静な信頼と学び

リタイアまでの私

二棟目のアパートを手に入れ、ようやく落ち着いてきた頃のこと。
オーナーとしてのリズムにも少し慣れ、毎月の入金にも実感がわいてきた。

そんなとき、ふと現実的な壁にぶつかった。

——確定申告。

不動産経営を始めたとはいえ、税金のことはほとんど分からない。
数字は嫌いじゃないけれど得意でもなく、
「経費」「控除」なんて言葉を聞くと、どこか身構えてしまう自分がいた。

「税金を甘くみると、後で痛い目を見るな……」
そんな不安が、頭の片隅でずっとざわついていた。


相続のときにお願いした税理士もいた。
ただ、正直に言えば、どうにも相性が合わなかった。

当時勤めていた司法書士事務所の顧問だった先生で、
上品で、少しセレブな雰囲気のある人。
話すたびに「僕、庶民だからなあ……」と妙な居心地の悪さを感じてしまった。

こっちは「チェーン店のラーメンが一番うまい!」というタイプ。
どうにも世界が違う気がした。


そんなある日、メイン銀行の支店長との世間話の中で、税金の話になった。

「真面目な税理士を知っているから、紹介しようか?」

そう言ってくれて、すぐに食事会を開いてくれた。
会場は焼き肉。お互い気を使わずに話せる、最高の場だ。

第一印象は、とにかく“真面目”。
でも堅苦しくなく、偉そうにもせず、ざっくばらんに色々話してくれた。


後日、改めて顧問契約の説明を受けた。

丸投げではなく、
「一緒に数字を作っていくスタイルですよ」
という方針だった。

帳簿も経費計上も“適当”ではダメ。
こちらもちゃんと考え、向き合う必要がある。

職業柄、個人事業主の現場にはよく行っていたので、
税務署が来て大変なことになったという話は何度も聞いた。

でも、その裏には
——何でも経費にしてしまう
——ずさんな管理
——ルールを理解していない
そんな落とし穴があることも知っていた。

だから僕は、最初からこう決めていた。

クリーンな経営をしよう。
見られて困ることのない数字を出そう。
税金は正攻法で付き合おう。

法律は、うまく付き合えば裏切らない。……たぶん。

そんな僕の考えと、彼のスタイルがぴったり合った。

「この人にお願いしよう」
そう思った。


こうして顧問契約を結び、以来ずっとお世話になっている。

無理を言ったり、泣き言を言ったり、
いまだに迷惑をかけている気もするけれど、
それでも困ったときは丁寧に向き合ってくれる。

やっぱり、不動産もビジネスも“人が人をつなぐ世界”なのだと思う。


次回は、物件をさらに増やしていった頃の話です。

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