勢いのままに三棟・四棟目へ ― 止まらないアクセル

アパートの話

みなさん、こんにちは。

不動産賃貸業の小林です。

前回は、税理士さんとの出会いについてお話ししました。

管理会社も決まり、税務申告をお願いできる先生とも出会い、ようやくアパートオーナーとしての土台が整ってきた頃です。

一棟目、そして二棟目。

普通なら、ここで少し落ち着いて経営を安定させようと考えるのでしょう。

ところが、当時の僕は違いました。

アクセルを踏みっぱなしだったのです。

勢いがついてしまうと、人はなかなか止まれない。

これ、今でも名言だと思っています(笑)。

今回は、そんな勢いに任せて三棟目、四棟目を購入していった頃のお話です。

■ 不動産営業マンからの猛烈アピール

二棟目の購入を終えた頃から、不動産業者からの営業電話がさらに増えてきました。

「小林さん、すごく良い物件が出ました!」

「これは他の人に紹介する前に、小林さんにお知らせしたくて!」

ありがたいお話です。

もちろん、良い物件の情報をいただけることは、大家さんにとって大切なことです。

でも、毎日のように電話がかかってくると、さすがに少し疲れてきます。

そんな中、今でも忘れられない営業トークがありました。

「小林さんの探しているエリアで物件が出ました!」

おっ、それは気になります。

ところが、続く言葉に驚きました。

「正直、利益は出ませんが、ステータスにはなると思います!」

……はい?

利益が出ない?

でも、ステータスにはなる?

ちょっと待ってください。

僕はアパート経営をしているのであって、建物を集める趣味があるわけではありません(笑)。

それでも、そんな物件を紹介されるようになったことに、悪い気はしませんでした。

今思えば、この頃の僕は、不動産業者から

「小林さん=物件を買ってくれる人」

と思われていたのでしょう。

営業マンにとっては、ありがたいお客さんだったのかもしれません。

ただ、すべての営業に付き合っていたら、自分の時間がなくなってしまいます。

頭では分かっていました。

でも、当時の僕は、次の物件を探すことが楽しくなっていたのです。

■ 三棟目は、ちょっと個性的なワンルーム

そんな営業電話の中で、少し気になる物件がありました。

鉄骨造の二階建てワンルームアパートです。

外観は少し個性的。

そして、正直に言えば古い。

決して、新築のようなピカピカの建物ではありません。

でも、立地は悪くありませんでした。

価格も、当時の僕には手頃に感じられました。

もっとも、すでに2億円を超える物件を購入している僕です。

金銭感覚が少し麻痺していた可能性はあります(笑)。

収支を計算してみると、数字もそれほど悪くありません。

そして何より、担当の営業マンがとにかく熱心でした。

「小林さん、この物件は絶対に回ります!」

「小林さんのエリア戦略にもぴったりです!」

エリア戦略。

何とも立派な言葉ですね。

でも、僕にはそんな大層な戦略はありませんでした。

ただ、自分が通いやすい場所が良かっただけです。

それを「エリア戦略」と呼んでくれるのですから、営業マンというのは言葉の使い方が上手ですね(笑)。

もちろん、営業マンの熱意だけで購入を決めたわけではありません。

立地や価格、収益性も検討しました。

そして、少しだけ価格交渉をして、三棟目の購入を決断しました。

こうして、僕の所有物件は三棟になりました。

■ 四棟目は、六階建てのRC物件

三棟目を購入し、今度こそ少し落ち着くかと思いきや……。

またしても、気になる物件の紹介がありました。

今度は、長年お世話になっていた不動産会社からです。

紹介されたのは、六階建てのRC造の賃貸物件。

RCとは、鉄筋コンクリート造のことです。

鉄骨造の三棟目とは違い、こちらは六階建て。

しかも、エレベーター付きです。

ただし、今回も建物は古い。

どうやら当時の僕は、古い建物にご縁があったようです(笑)。

営業マンからは、

「RC造でこの価格なら、お買い得ですよ!」

「駅にも近いし、ファミリータイプだから安定した需要が期待できます!」

そんな説明を受けました。

確かに、立地は悪くありません。

ファミリータイプの部屋があり、駅からも近い。

魅力的な部分はありました。

ただ、気になることもありました。

思っていたほど、手元にお金が残らないのです。

管理費や維持費、借入金の返済。

それらを差し引くと、収益にはそれほど余裕がありませんでした。

しかも、六階建てでエレベーター付き。

建物が古くなれば、設備の修繕にもお金がかかります。

今なら、もっと慎重に考えると思います。

でも、当時は違いました。

不動産会社にもいろいろと条件を考えてもらい、最終的には購入を決断しました。

こうして、四棟目のアパートを手に入れたのです。

■ 数字を見ているつもりだった

この頃の僕は、少しずつ不動産経営に慣れてきたつもりでいました。

管理会社も決まり、税理士さんにも税務申告をお願いできるようになりました。

何かあれば相談できる人もいます。

だから、何となく安心していたのです。

もちろん、物件を購入するときには収支計算をしていました。

家賃収入。

管理費。

修繕費。

銀行への返済。

数字はきちんと見ているつもりでした。

でも、今振り返ると、少し違っていたように思います。

良い数字はしっかり見る。でも、悪い数字はあまり見たくない。

そんな気持ちが、どこかにあったのかもしれません。

満室なら、これだけ家賃が入る。

大きな修繕がなければ、これだけ利益が残る。

空室が少なければ、返済も問題ない。

でも、現実のアパート経営は、そんなに都合よく進むものではありません。

空室が続くこともあります。

突然、設備が故障することもあります。

予想していなかった出費が発生することもあります。

頭では理解していたつもりでした。

でも、当時の僕は、どこかで楽観的に考えていたのでしょう。

完全に「勢いの魔法」にかかっていました。

■ 気づけば四棟、合計64部屋の大家さん

こうして、僕の所有するアパートは四棟になりました。

部屋数を整理してみると、

  • ワンルーム:16部屋
  • ワンルーム:10部屋
  • ファミリータイプ:20部屋
  • ファミリータイプ:18部屋

合計64部屋。

自分で書いていても、なかなかの数字です。

少し前まで普通のサラリーマンだった僕が、64部屋の大家さんになっていました。

毎月の家賃収入も増えました。

不動産業者からも、以前とは違う扱いを受けるようになりました。

銀行との付き合いも増えていきました。

そして、正直に言います。

かなり調子に乗っていました(笑)。

「このまま物件を増やしていけば、もっと安定するんじゃないか?」

そんなことまで考えていたと思います。

でも、ここで忘れてはいけないことがありました。

家賃収入が増えるということは、同時に管理する建物も増えるということです。

建物が増えれば、修繕する場所も増えます。

部屋数が増えれば、退去や空室の問題も増えます。

そして何より、借入金も大きくなっていきます。

収入が増えたからといって、自由に使えるお金が同じように増えるわけではありません。

今なら、よく分かります。

でも、当時の僕には、まだその怖さが十分に見えていませんでした。

■ アクセルを踏み続けた、その先に

一棟目を購入し、二棟目、三棟目、そして四棟目へ。

振り返ってみると、本当に勢いのある時期でした。

物件を購入するたびに、自分が成長しているような気がしていました。

もちろん、行動したからこそ得られた経験もあります。

あの頃の決断が、今の僕につながっていることも確かです。

ただ、ひとつ大きな勘違いをしていました。

物件が増えることと、経営が安定することは、必ずしも同じではない。

これは、後になって痛いほど思い知らされることになります。

不動産経営には、良いときもあれば悪いときもあります。

そして、良いときほど、悪いときのことを考えておかなければならない。

そんな当たり前のことを、当時の僕は十分に理解していませんでした。

勢いよく踏み続けていたアクセル。

でも、その先には、思いもよらない出来事が待っていたのです。

次回は、**「トラブル・資金ショート・そして売却」**のお話です。

順調に見えていたアパート経営に、突然訪れた厳しい現実。

大家さんになって初めて、本当の怖さを感じた頃のお話です。

それでは、また次回!🏠

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