部屋数が増えて、収入も支出も一気に大きくなっていった。
正直、自分の名前でお金を動かしている実感があって、それをどこか楽しんでいた。
でも——油断していた。
本来の“小心者の自分”を、完全に忘れていた。
すべては 計算が甘かったこと に尽きる。
■ 見えていなかった「諸費用」という落とし穴
三棟目と四棟目を買ったとき、僕は先の先まで計算していなかった。
三棟目のときは、自己資金を出しすぎた。
融資は売買代金だけで、諸費用をまったく考えていなかった。
四棟目も同じ。
諸費用を軽視して、再び自己資金をドンと投入。
気づけば、手元資金はどんどん減っていた。
■ そこに追い打ちでトラブル発生
そんな状況の中で、次々と予想外の事態が起きた。
- 貯水槽の破裂
- 退去ラッシュでリフォーム費が増える
- 不動産取得税の支払い
- 所得税の予定納税
事業を始めたばかりで残っていた資金は——
いや、正確に言うと 足りなくなっていた。
この時期は本当にピンチだった。
サラリーマンとしての仕事も忙しく、
考える時間も取れず、夜は眠れない日が続いた。
■ 資金調達のアイデアが「ない」
当時の僕には、資金調達の知識がまったくなかった。
考えも単純で、
- 空室を埋めれば家賃が入る
- でも入居募集するにはリフォームが必要
- そのリフォーム費用がない
という完全な行き詰まり。
しかも優先しなければならない支出は山ほどあった。
貯水槽を直さないと入居者の日常生活に影響する。
税金を払わないと差し押さえが入る。
差し押さえが来たら、
今の生活も、事業も、すべてが壊れてしまう。
当時の僕は、本気で追い詰められていた。
■ 最悪の選択肢まで考えていた
「いっそ全部捨ててしまうしかないのか……」
自己破産、任意再生——そんな言葉が頭をよぎった。
書きながら思い出しても胸が痛いほど、
あの頃は本当に追い込まれていた。
正直、泣きたくなる日もあった。
■ そして出した、一つの結論
結局、たどりついた答えはこうだ。
三棟目を売却すれば、流れを戻せるのではないか。
当時の僕にとっては“苦しみから解放される唯一の道”に思えた。
そして決断した。
■ 売却が奇跡的にうまくいく
不動産屋さんの営業が本当に頑張ってくれた。
結果、購入時より 500万円高く 売却できた。
その差額を返済に回し、
なんとか事業を立て直すことができた。
もちろん、売却益が出たので翌年の税金は地獄だったのだが……
それでも“終わり”にならないだけマシだった。
今振り返ると、懐かしくもあり、恥ずかしくもある。
でも、あの苦しみがあったから今の僕があるのも事実だ。
本当に——
何事も、一瞬先は闇だと思い知った。
■ 今回の話の結論
不動産賃貸業は、
安易に考えると大失敗する。
これは僕が身をもって経験した、嘘のない教訓だ。
あのとき何が甘く、何が抜けていたのか——
今なら冷静に計算できるようになってきましたが、まだまだ完璧までは遠いかな。
次回は、細かな数字の話 をしていこうと思う。



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